最終更新 2021年5月7日
今回の論文
Teaching Video NeuroImages: A Triad of Tremor, Ataxia, and Cognitive Impairment
Neurology. 2021 Mar 30;96(13):e1802-e1803.
doi: 10.1212/WNL.0000000000011288.
PMID: 33277424
https://n.neurology.org/content/96/13/e1802.long
症例提示
67歳女性
2年前から始まった物忘れと不安定性で受診した.
若年成人期から頭部と上肢の振戦があり,本態性振戦と診断されていた.
MoCA 17点.
動画
(サイトで見ることができます)
頭部振戦
左>右で上肢安静時振戦
両上肢姿勢時振戦
継ぎ足歩行不安定性,歩行時も上肢に振戦ある.
頭部MRI
FLAIRで両側の皮質下白質に病変を認める.
DWIで皮髄境界に沿った高信号を認める.
皮膚生検
A:HE染色,B:汗腺細胞のユビキチン免疫染色
核内封入体を認める.
C:封入体の電子顕微鏡
封入体は子密度の高いフィラメント状物質で構成されている.膜様構造はない.
診断
成人発症神経核内封入体病(adult-onset neuronal intranuclear inclusion disease:NIID)
稀で,臨床的に不均一な神経変性疾患である.
MRIでは白質脳症を認め,皮髄境界に沿ったDWI高信号を認める.
皮膚生検で,特徴的な好酸性核内封入体を認めることで診断する.
読んだ感想
特徴的な画像所見を知っていると,比較的想起しやすい疾患かと思います.ですが,実際には診断に必要な皮膚生検と,その病理解析については少し大変でしょうか.
頭部MRI画像は一度見たら忘れない,そのくらい特徴的な画像所見ですね.
NIIDの臨床像について理解不十分と感じました.いずれ復習したいと思います.