Uremic neuropathy: an overview of the current literature
(Revista da Associação Médica Brasileira – REVIEW ARTICLE )
Rev Assoc Med Bras (1992). 2019 Feb;65(2):281-286
DOI:http://dx.doi.org/10.1590/1806-9282.65.3.469
尿毒症性ニューロパチー のReview
教科書的には,ニューロパチーの鑑別として尿毒症性ニューロパチー(Uremic neuropathy)が必ず挙げらてれる.しかし,その症候をいまいち理解していなかった.
今回,なんとなく目に止まったのでレビューを読んでみました.
UNの病態
左右対称性,遠位,感覚運動ポリニューロパチー.典型的には下肢に生じる.length-dependentな軸索変性で,二次的に局所での脱髄も生じる.
尿毒素の蓄積により,酸化ストレスで運動・感覚・自律神経を障害し,UNを生じる.詳細な病態は不明である.
通常,腎機能が15%未満あるいは糸球体濾過が10-12ml/min未満になるまで(背景疾患を発症してから10-15年経過するまで)無症候性である.末期腎不全で生じる神経症状で多い種類である.
緩徐進行性や急速進行性の軸索障害型の感覚運動性ニューロパチーを生じる.敗血症や重度の慢性腎不全などの特定の状況下で,劇症型の運動ニューロパチーを生じたとの報告もある.
高K血漿や高P血漿がUN発症リスクを上げる.他のリスクとしては糖尿病,高齢,低Cr,低Crクリアランスなどである.
症状
症状は多様だが,典型的には緩徐進行性の軸索障害型運動感覚ニューロパチーを呈し,下肢から発症し,近位に広がる.時に上肢にも拡大する.
初期症状は,異常感覚やparadoxical heat sensation,むずむず足症候群,痛覚過敏,こむら返りなど.長期的には,筋力低下,腱反射低下,平衡覚障害,知覚低下,下肢筋萎縮なども生じる.
神経伝導検査
感覚障害の定量と,神経伝導検査がUNの評価として主となる.神経伝導検査は50-60%に低下するが,触覚や振動覚の方がより鋭敏である.
診断
Golden standardは神経伝導検査である.他には,神経診察や神経生検.
治療
UNの治療としては透析と腎移植である.
透析量(腹膜or通常の透析)を増やすことでUN進行を有意に遅らせたという報告もある.腹膜透析と通常の透析の優劣は議論の分かれるところである.血液濾過透析は運動神経過剰興奮に対する治療選択肢である.
腎移植はUN進行を抑制し,症状を改善させる唯一の治療である.移植後の効果は移植までの罹病期間と反比例する.
他のニューロパチーとの比較 (症候のみ抜粋)
- 糖尿病性ニューロパチー:
緩徐進行性の感覚障害で,手袋靴下型の分布. - アルコール性ニューロパチー:
痛みのある感覚障害,筋力低下,感覚運動症状で上下肢近位に拡大する.歩行障害が生じることもある. - 慢性炎症性ニューロパチー:
感覚症状(感覚低下,しびれ,不安定歩行,痛みのある感覚障害),左右対称性に遠位近位とも障害される. - 感染性ニューロパチー:
HIV,HCV,ライム病:痛み,知覚低下,感覚障害,アキレス腱反射消失
Campylobacter jejuni:Guillan-Barré syndrome(急性,上行性,運動ニューロパチー)