非常に久しぶりの更新.
多忙&多忙,そして時たま燃え尽き.個人的に激動の1年でした…(*_*)
最近,猛烈に神経診断学を学び直したくなり,でもなかなか取り掛かれずにモヤモヤしてます.以前よりは自信を持って診療できることが多くなったけど,診断に関してはまだまだ曖昧な部分が多いなと感じてます.
今回は重症筋無力症,特に眼筋型重症筋無力症の検査精度について.
はい,Editorialです.でも備忘録がてらちょっと書き留めます.
目次
本日の論文
Neurology. 2020 Sep 29;95(13):563-564.
doi: 10.1212/WNL.0000000000010616. Epub 2020 Aug 11.
Diagnostic testing for ocular myasthenia gravis | Neurology
重症筋無力症(眼筋型+全身型)では抗体検査の陽性率が高い
抗体検査(アセチルコリン受容体抗体,MuSK抗体,LRP4抗体) 90%以上で陽性.
アイスパックテスト:感度 86%,特異度 79%.
短繊維筋電図:感度94%,特異度79%.
一方で眼筋型重症筋無力症では,抗体や反復刺激試験の陽性率が低い.
アセチルコリン受容体抗体は 36.3%で陽性.
反復刺激試験は 27.5%で陽性.
アセチルコリン受容体抗体と反復刺激陰性の眼筋型重症筋無力症でも,アイスパックテストと短繊維筋電図の感度特異度が高い.
アイスパックテスト:感度 79%,特異度 79%.
短繊維筋電図:感度90%,特異度79%.
アイスパックテスト,短繊維筋電図の一方が陽性の場合,他疾患(神経疾患や筋疾患)を除外できるものではない.だが,両方が陽性の場合は眼筋型重症筋無力症の陽性尤度比95%である.短繊維筋電図正常である結果は,眼筋型重症筋無力症の除外に非常に有用である.
(エドロホニウム試験(いわゆるテンシロン試験)も感度が高いが,症例によっては投与禁忌になったり,投与困難な症例もおり,施行可能な訳では無い…)
補足)アイスパックテスト
眼瞼の上から2分間アイスパックで冷やすことで神経筋接合部の伝わりを改善させる.眼瞼下垂が2mm以上改善した場合は陽性とする.
メリット:簡便に行える.
デメリット:眼瞼下垂が明らかな症例でしか行うことができない.