前回,新型コロナウイルスに合併する神経症状に関して読みました(下記)
その後,JAMA neurologyに中国からの報告があり,今回読んでみました.
Clinical Reasoning: Progressive proximal weakness in a 56-year-old man with bone pain
Neurology. 2019 Nov 19;93(21):939-944.
doi:10.1212/WNL.0000000000008535
症例 56歳 男性
両上肢挙上困難で発症し,年単位で緩徐に進行した.
1.5年前から骨痛と関節痛があり,徐々に悪化している.
COPDの既往がある.喫煙者で18歳から0.5箱/日の喫煙をしている.
最近の予防接種歴はない.
神経疾患の家族歴はない.
父は心臓発作で56歳のときに他界した.
母は早期発症Alzheimer病に罹患している.
当初はCIDPが考えられた.しかし,感覚症状が無く,腱反射も保たれていた.
確定診断に至らなかった.筋力低下は進行し,頻回に転倒するようになった.4ヶ月後に他院へ転院した.
頭痛,物忘れの精査として頭部MRIを撮った際に,時々,脳アミロイドアンギオパチーの所見を偶然認めることがあります.
多くは無症状ですが,どんな疾患か確認のため文献を読んでみました.
Rapid Cognitive Decline and Recurrent Falls in a 71 Year-Old Man Due to Cerebral Amyloidangiopathy-Related Inflammation (CAA-RI).
Geriatrics (Basel). 2019 Oct 2;4(4). pii: E56.
doi: 10.3390/geriatrics4040056.
症例報告もありましたが,総説部分の要点のみ,まとめてみました.
Neurology. 2016 Jun 7; 86(23): e239–e241.
doi: 10.1212/WNL.0000000000002743
前回まで成人における失調症に関するReview論文を読みました.個人的に勉強不足な疾患も多数ありました.
その中で,反復発作性運動失調症 (Episodic ataxia 2:EA2)は,”もしかしたら日常診療で遭遇していたかも?”と感じたため,今回はEA2に関する論文です.
※本邦では保険適用外の治療についても記載あります.ご留意ください.
前回までの成人における失調症に関するReview論文です↓
Pract Neurol 2019;19:196–207.
doi:10.1136/practneurol-2018-002096
3回目,今回で最終です.
簡単な内容の部分は省略しています.
※一部,本邦で保険適応の無い検査項目・治療内容もあります.
1回目
2回目
グルテン失調や免疫介在性失調を除けば,治療可能な失調はまれである.
Pract Neurol 2019;19:196–207.
doi:10.1136/practneurol-2018-002096
前回の続きです.
前回は 失調の種類,臨床的特徴,MRI所見 に関して載せています.
今回は検査に関してです.
※一部,本邦で保険適応の無い項目もあります.
(多くの症例では,第二選択の検査も必要になる)
Pract Neurol 2019;19:196–207.
doi:10.1136/practneurol-2018-002096
失調性は非常に鑑別が多岐にわたります.
日常臨床では,概ねのルーチン検査行い,状況に応じて頻度の高い遺伝子検査も行い,それで診断が決め難い場合は,”孤発性の小脳失調症”,として経過観察することが時々ありました.
治療方針は変わらないにしても「特定の疾患に当てはめられないか?」と疑問に思う症例で悩むことがあり,総説を読んでみました.
基本的事項も多いのですが,知識の再確認に役立ちました.
※長いので複数回に分けます.