日常的に気になった論文,必要に迫られて読んだ論文など,あれこれ論文を読んでいます.今回は今月読んで印象深かった論文を紹介します.
さらっと流し読みした論文も含めるともう少し数があるのですが,じっくり読んだ論文のみ取り上げます.
改めて確認するとそこまで論文を読んでいませんね.英文読解力がなく,じっくり読むと,どうしても時間がかかってしまいます.英文読解が今後の課題です…
目次
パーキンソン病の診断における迷走神経超音波検査の有用性
Ultrasonography of the Vagus Nerve in the Diagnosis of Parkinson’s Disease
Front Neurol. 2018; 9: 525. doi: 10.3389/fneur.2018.00525 PMID: 30034363
本論文では迷走神経径のPD診断での有用性は証明できていませんでしたが,過去には有用性を報告した研究もあるようです.
内側ハムストリング反射とL5神経根症
The medial hamstring (L5) reflex
Pract Neurol. 2020 Sep 14;practneurol-2020-002595.
DOI: 10.1136/practneurol-2020-002595
PMID: 32929045
L5髄節の腱反射として活用できそうです.下記の紹介ページ内ではYouTubeの動画も貼っているので,興味があればぜひご確認ください.
Sensory Ganglionopathy
N Engl J Med. 2020 Oct 22;383(17):1657-1662.
PMID: 33085862
DOI: 10.1056/NEJMra2023935
Sensory Ganglionopathy(日本語でなんと言えば良いのか…?)についてのReviewです.コンパクトにわかりやすくまとまっています.
まれな病態であり自分自身,まだ経験したことがありません.読む前はSensory Ganglionopathyについてぼんやりと知っている程度でしたが,この論文でより理解が深まりました.
パーキンソン病診断のための新規バイオマーカー:皮膚αシヌクレイン凝集シーディング活性
Skin α-Synuclein Aggregation Seeding Activity as a Novel Biomarker for Parkinson
JAMA Neurol. 2020 Sep 28 : e203311.
doi: 10.1001/jamaneurol.2020.3311
PMID: 32986090
病理は苦手ですが,教養のため読みました.
PDのバイオマーカーとして有用である可能性があるようですね.いずれはPDを疑ったら皮膚生検をする時代が来るのでしょうか…? それでもMSAとは鑑別はできるのか…? 今後の研究が気になります.
Neurology-Clinical Reasoning:進行性失調と転倒を生じた57歳女性.意外な原因.
Clinical Reasoning: A 57-year-old female presented with progressive ataxia and falls
Neurology. 2020 Oct 6;95(14):650-656.
PMID: 32753433
DOI: 10.1212/WNL.0000000000010464
感覚性失調を生じた症例ですが,最終診断は…意外な結論でした.
最初の時点では鑑別にすら挙げられない疾患でした.稀ではありますが,このような経過もあるのだなと驚いた報告です.
頭痛で発症し,うっ血乳頭を認めた症例
うっ血乳頭を生じた症例.特発性頭蓋内圧亢進症のようではあるが,性別やBMIが非典型的…二次性の精査が重要と感じました.