Nerve ultrasound improves detection of treatment-responsive chronic inflammatory neuropathies
Neurology. 2020 Apr 7;94(14):e1470-e1479.
PMID: 31959710
DOI: 10.1212/WNL.0000000000008978
Nerve ultrasound improves detection of treatment-responsive chronic inflammatory neuropathies
方法 Method
期間:2015年2月~2018月6月.
症例:臨床的にCIDPが疑われる連続100症例.前向きコホート研究.
Inclusion
CISを疑う連続症例.
CISの定義:
- 亜急性~慢性の感覚運動性ポリニューロパチー(6週間以上)と下記基準のうち2つ以上を満たす.
(1) 非対称性, (2) 近位筋筋力低下,
(3) 全身性の腱反射低下, (4) 感覚性失調,
(5) 急速な進行, (6) 痛み分布非対称性や多巣性 - あるいは,亜急性~慢性の純粋運動性or感覚ニューロパチーに加えて上記の基準1つ以上を伴う.
(この基準では,classical CIDP, pure motor CIDP, pure sensory CIDP, MMNやLSSなどの亜型が含まれる)
Exclusion
(1) 過去にポリニューロパチーの診断や治療
(2) 年齢<18歳,あるいは>80歳
(3) 神経超音波検査が施行できない
問診,身体診察を行う.全例で神経超音波検査と標準的な神経伝導検査(NCS),他の診断に必要な検査(MRIなど)を施行した.
慢性炎症性ニューロパチーの診断
CINの診断はの基準の基づいて行った((1)+(2)+(3a)あるいは(1)+(2)+(3b)で診断)
(1) 臨床的表現型がEFNS/PNS criteria CIDP/MMNに合致する.
(2) 1年間の臨床経過がCIDP/MMNの経過として合致する.
(3a) NCSがEFNS/PNS criteriaに合致する.
(3b) 神経エコーで異常を認め,かつ,治療反応性がある
超音波検査
約20分で施行.検者にNCSや他の検査結果を伝えずに検査を施行した.
両側の神経断面図を計測した(前腕1/3と上腕1/2の位置で正中神経.C5,6,7神経根).
片側ないし両側で神経腫大を1箇所以上検出した場合に,異常ありと判定する.
結果 Results
連続100例中,最終的に38例でCIPと診断された(CIDP 20例, LSS 4例, MMN 14例).
38例の内訳
- NCS異常あり+神経エコー異常なり:31例.そのうち,29例がCINの最終診断(76%. 29/38例)
- NCS異常あり+神経エコー異常なし:3例.そのうち1例でCINの最終診断(3%. 1/38例)
- NCS異常なし+神経エコー異常なし:41例.CIN 0例.
- NCS異常なし+神経エコー異常あり:25例.うち15例で免疫治療が行われ,そのうち8例で治療反応性があり,CIPと診断された(CIDP 4例,MMN 4例)
感度,特異度,陽性適中率,陰性適中率
- 神経エコー検査は感度97.4%,特異度69.4%であった.
NCSでは感度 78.9%,特異度 93.5%であった. - NCS単独と比べて,超音波検査を追加することで,治療反応性があるCINを21.1%発見できる.
- 陽性適中率(PPV)は神経エコー66.1%, NCS 88.2%.陰性適中率(NPV)は神経エコー97.7%,NCS 88.2%.
結論 conclusions
神経エコー検査は感度,NCSが特異度に優れ,互いに補完的な検査である.
CINでの神経エコーは,感度が高く,スクリーニングのツールとなりうる.
神経エコー検査を追加することで,CINの検出率が有意に改善する.そのため,超音波検査はCIN診断検査において,重要な位置づけになる.
感想
本報告では,慢性炎症性ニューロパチーにおける神経超音波検査の感度は97.4%と非常に優れているようです.スクリーニング検査として期待されるかと思います.
まだ本邦では,神経超音波検査が十分に行われていないように思います(少なくとも自分の周りではそのように思います).今後の普及が待たれると思いました.