最終更新 2021年3月19日
久しぶりの更新です.最近忙しく,論文なかなか読めませんでした…まだ時間がなく,しばらくの間は論文読む時間が確保できないかもしれません…
さて,今回は逆性後頭葉白質脳症(posterior reversible encephalopathy syndrome:PRES)についての論文です.
PRESは日常診療で見かけることは多くはありませんが,非常に特徴的な所見,経過をたどる疾患と思います.これまで経験したPRES症例は,病名の通り可逆的な経過のことが多く,概して良好な予後だった症例が多かったです.
しかし,「大規模な研究では予後はどうなのか?」と常々疑問でした.
臨床的特徴や予後が知りたく,今回の論文を読みました.
今回の文献
Clinical characteristics and outcomes of patients admitted to hospitals for posterior reversible encephalopathy syndrome: a retrospective cohort study
Bmc Neurol 2021, 21, 107
doi:10.1186/s12883-021-02143-6.
方法
入院患者データベースである National Inpatient Sample database provided by the Healthcare Cost and Utilization Project (HCUP-NIS) 2017を用いて,後方視的に検討.
結果
症例
症例635例(18歳以上のPRES症例).
平均年齢 57.2歳.女性71.7%.
症状,合併症
症状:痙攣50.1%,視覚症状9.9%,発語困難10.1%.
合併症:頭蓋内出血 4.6%.脳梗塞 5%.
アウトカム
平均入院期間は8,2日.平均医療費は$92.503.自宅退院率 67.4%.
2.2%が死亡(男性1.7%,女性2.4%.男女間で有意差なし).
視覚症状を伴う症例は頭蓋内出血のリスクが高い.
末期腎不全(OR 7.270.95%CI 2.06–25.63.p=0.002),心房細動(OR 3.842. 95%CI 1.01–14.55.p=0.048),悪性腫瘍(OR 4.187.95%CI 1.07–16.32.p=0.039)は死亡のリスクが高い.
(表は論文より引用)
読んだ感想
症例数は非常に多い点は特筆すべき点と思いました.
時に死亡や脳出血,脳梗塞を生じる可能性がある点は勉強になりました.病状説明の際に役立ちそうです.
死亡リスクについても頭に入れておこうと思います.