”Bloomy Rind sign”についてご存知ですか?
私は,全く知りませんでした.癌性髄膜腫症でみられるMRI所見で,非常に特徴的なようです(ただし,稀なようです)
一度見たら忘れないほど特徴的と思います.
実際に遭遇したら,「ああ,これはBloomy Rind signですね」なんてサラッと言えたら,非常にスマートです.ぜひ頭の片隅に残したいです.(神経内科以外の先生にとっては,単に変態的な知識かもしれませんが・・・)
今回の文献
Teaching NeuroImage: Bloomy Rind Sign of Leptomeningeal Carcinomatosis
Neurology. 2023 Feb 16;10.1212/WNL.0000000000207124.
doi: 10.1212/WNL.0000000000207124. Online ahead of print.
PMID: 36797069
https://n.neurology.org/content/early/2023/02/16/WNL.0000000000207124.long
引用
症例:68歳 女性.
1年前から肺腺癌(EGFR mutation あり)があり,osimertinib治療で寛解状態となっていた.
3日前からめまい,嘔気・嘔吐が始まった.
神経所見では,項部硬直と水平性/垂直性の眼振,嚥下障害,両側Babinski兆候を認めた.
MRIで左右対称性に,中脳,橋,小脳脚の表面がT2,FLAIR,DWIで高信号を認めた.T1とADCは正常.造影効果なし.
髄液細胞診では,EGFR mutationを伴う癌細胞を認めた.
osimertinibにbevacizmabを追加した.2ヶ月後のMRIでは,病変は延髄や内耳に拡大し,水頭症を重なった.最終的に呼吸不全で死亡した.
髄膜癌腫症のMRI所見
- 脳溝や軟髄膜,神経根の線状の造影効果.
- Bloomy Rind signは,おそらく腫瘍浸潤と細胞性浮腫,微小梗塞などにより生じたもので,稀であるが特徴的な所見である.
補足事項
調べたとろこ,Bloomy rindは白カビのことのようです.Google画像では,”Bloomy rind”で検索するとBloomy rind cheeseが大量にヒットします.MRIでの高信号をチーズ表面の白カビに見立てて,Bloomy rind signと名付けられたみたいですね.少しオシャレな感じです.
こんな稀な画像所見のCase seriesがあるようです.最終的に癌性髄膜腫症と診断された症例142例中,11例でBloomy Rind signを認めたそうです.割合で言うと7.7%.個人的には思ったより多いような気がします.(https://cancerimagingjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40644-020-00361-8)