Malignant deep brain stimulator withdrawal syndrome
(Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases)
Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases. 2018 Feb;27(2):506-512.
DOI:10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2017.09.027
画像診断を行う前に,めまい患者から後方循環系脳虚血(Posterior Circulation Ischemia Risk:PCI)を予測するためのスコア(PCI score)に関する報告.
Method
2010年1月から2014年12月までの期間で,PCIで入院した症例を対象として,retrospectiveに解析.
PCI群のInclusion
1) 主症状がめまい,不安定感
2) 退院時病名がPCIで少なくとも熟練した脳卒中神経医2人が診断
3) MRIで後方循環領域に虚血領域あるorMRAで後方循環の閉塞所見を認める
4) 次のいずれかに該当する(40歳以上,高血圧,糖尿病,冠動脈疾患,虚血性脳卒中,喫煙)
Control群のInclusion
1) PCI患者が入院した日と同じ週に入院した症例.
2) 主症状が,めまい.
3) 退院時の診断でPCIが否定されている(少なくとも熟練した脳卒中神経医2人が診断)
4) MRIやMRAで異常なし.
5) 次のいずれかに該当する(40歳以上,高血圧,糖尿病,冠動脈疾患,虚血性脳卒中,喫煙)
Clinical Assessment
既往歴,症状,身体所見,合併症を評価.
ABCD2スコアとEssenスコアを測定.(ABCD2スコアのdurationは0点として評価した)
統計解析
PCI群とControl群で,各因子を比較(Fisherの正確検定,StudentのT検定)
各因子でロジスティック回帰分析.
PCIスコア,ABCD2スコア,Essenスコアで,ROC曲線を作成し,各AUCを評価.
Results
PCI 152例(Stroke 94例,TIA58例),Control 152例
PCI群 vs Control群
年齢,性別,既往歴(高血圧,糖尿病,脳卒中),自覚症状(目のかすみ,浮動感/回転感,会話困難,聴力障害,片麻痺,耳鳴り),所見(構音障害,片麻痺,四肢感覚障害,失調性歩行,四肢失調,片側性脳神経麻痺,Babinski徴候)で有意差あり.
独立変数としてロジスティック回帰分析を施行.9つの因子で有意性を認めた.
オッズ比をもとにPCI risk scoresを作成(-6~16点)
・高血圧既往 1点
・糖尿病既往 1点
・虚血性脳卒中既往 1点
・浮動感/回転感 -1点
・発語困難 5点
・耳鳴り -5点
・四肢感覚障害 5点
・失調歩行 1点
・四肢失調 5点
文献より引用
各スコアのAUC
PCI risk score 0.82 (P = .000)
ABCD2 score 0.69 (P = .000)
Essen score 0.67 (P = .000)
Discussion
スコア0点以上では画像検査が勧められる.
読んでみた感想
実臨床上の感触と概ね合っている印象を受けた.日常臨床では病歴や所見から総合的に判断することが多いので,実際に使用するかというと微妙な気がしなくもないが,スコア0以下は除外には有用と思った.
後方循環系以外の虚血は含まれないので,梗塞すべてを除外できるわけではないという点は注意が必要ではないだろうか.